第330章

野呂栞は数秒ぽかんとした。背後からぴったり付いてきた川崎正弘をちらりと確認し、水原刃の言葉を本気にしていないまま、手をひらひらさせて笑う。

「水原隊長、照れなくていいですよ。私、言いふらしたりしませんから」

別に恥ずかしいことでもないのに。

水原刃「……」

頭が痛い。胃まで痛い。

水原刃は川崎正弘に視線を投げた。ほら、誤解だって説明してくれ――そんな期待を込めて。

川崎正弘は肩をすくめ、「ほらな、俺のせいじゃないだろ」という顔をする。

もうどうしようもない。水原刃は野呂栞をまっすぐ見据えた。

「……試しに、俺を「直し」にしてみろ。それなら署の中でも動きやすいだろう」

は?

...

ログインして続きを読む